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製剤・民間薬
民間薬
ユキノシタ
ユキノシタ(ユキノシタ科)
■ 解説

ユキノシタは、名前の由来どおり寒さに非常に強く、雪の積もった下でも生じ、日陰でも生えることができます。湿気を好み、田舎の井戸端や路地裏の石垣等でよく見られ、庭園にもよく植えられる馴染み深い植物です。佐賀県内の各地では、耳に膿汁が出るものにユキノシタの葉汁をガーゼに浸して耳中を拭くと治ると言い伝えられています。ユキノシタは全体に毛が生えており、葉を摘み取る時に"ゴソゴソ"した感触があるのですが、料理すると柔らくなり、味もくせが無くなかなか美味のようです。

■ 形態

湿った岩場などに自生する半常緑の多年草です。葉は全て根生草で、全体が長い赤褐色の毛で被われ長い葉柄があり腎臓形です。葉柄につくところは心臓形に入り込み、へりは浅く切れ込んでいて低い鋸歯があります。5~7月にかけて20~50cmの花茎に、穂になって多くの白い花をつけ、群生した所では真っ白く雪が降り積もったようになります。

■ 採取と調整

薬用には生葉を用いることが多いので随時採集することができますが、夏~冬にかけての期間は大きい下葉が枯れるので小さい葉しか採れません。半常緑性といわれるのはそこから来ています。採集に最も適した時期としては、初夏の開花前が葉の状態が最もよく成長した状態になるので、摘んで陰干しにして保存すると良いようです。

■ 薬用途

①中耳炎、外耳炎、耳垂れに生葉をもんで搾り汁を耳の穴に垂らしこんで綿で栓をしておき、乾いたら再び行います。
②子供のひきつけには葉の搾り汁を口に垂らしこむと良いようです。
③カゼで咳がでる時、扁桃腺が腫れて痛む時に生葉の搾り汁を盃1~2杯分服用します。
④皮膚の腫れ物には生葉をあぶって柔らかくして揉んで患部につけます。
⑤歯痛には生葉を噛み締めておくと良いようです。
多方面に用いる事ができ、昔からの民間薬の代表格ですので、ご家庭に是非1本植えておかれると良いでしょう。