生薬名"蒲公英(根)"
「タンポポ」は、タンポポの仲間の総称で、非常に種類が多い植物です。しかし、人間以外にも牛の乳の出をよくする働きがある為、日本では帰化種である"セイヨウタンポポ"が明治初期に北海道で大量に栽培された時期があります。その後、これが日本全土に広がってしまい、日本在来種であるカンサイタンポポや、カントウタンポポ、シロバナタンポポは急速に生育地を減らしており、いつかは日本から姿を消してしまうのではないかと危惧されています。
タンポポは多年生で、根は深く地中にもぐり込んでいきます。葉は地上にあって、ロゼット状で車状につきます。春になるとその中心部から花茎を出して、黄色の舌状花からなる頭状花序をつけます。
開花前の全草を採取し、よく水洗いして天日で乾かします。これを日本産の蒲公英といい、根のみを採集するときは、秋から早春にかけて地上部の活動がない時期に、根を切らないように掘り取り、水洗いしてから乾燥させます。これは蒲公英根といって区別します。
薬用にはセイヨウタンポポも在来種もひとしく利用します。ヨーロッパでもセイヨウタンポポは健胃薬として重要な薬草になっています。蒲公英、蒲公英根ともに健胃、利胆、解熱、強壮など実に多種多様の目的で用いられますが、特に有名なのは乳汁不足に対して催乳効果があるとされていることです。蒲公英は刻んで、一日量約10gに対し水〇・5㍑を加え約半量まで煮詰めたものを、食間か食前に3回に分けて服用します。蒲公英根は全草より少なく一日量4~5gとします。民間では、全草を食べると食毒を消し、乳腫を治す効き目があるとされ、用いられてきました。最近、不妊症と共に、乳の出の悪いお母さんが多いのですが、安易に粉ミルクに頼らず、自然の力で不妊症や乳汁不足を改善する方法もありますので、一度試してみられることをお勧めします。