トウキ(セリ科)
生薬名"当帰(とうき)"
生薬名"当帰(とうき)"
■ 解説
名前の由来は、この薬草を飲むと血の巡りが良くなり病気が早く治るので「当に(まさに)血が帰ってくる」ことに由来したといわれます。婦人産後病や、"血の道"の薬としてまさにこれ以上無いほど良く効く薬草で、漢方薬の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遥散(かみしょうようさん)などの重要な漢方薬の主原料として使用されるため、現在は日本・韓国・中国などで広く栽培されています。
■ 採取と調整
11~12月の葉が黄変したころに掘った根を調整したものを生薬の当帰といい、芳香と強い辛味(からみ)および甘味(あまみ)のあるものが良品とされています。その点、一般に日本産のものは味・香り共に強く、韓国や中国産に比べて良品とされ値段も高価なようです。
■ 薬用途
漢方では婦人薬の主薬であり、鎮静、鎮痛、強壮薬として妊婦の浮腫み、腹痛、月経痛などに使用される当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)などにも配合され、婦人の要薬として鎮静通経の効き目があります。トウキは手足を中心に身体を暖める働きが強いので、冷え性・血色不良・血行障害・頭痛・貧血などにとても広く応用されています。この生薬には独特の味と香りがあるのですが、この味と香りが「とてもいい」と言う人と、「いやだ」と言われる方があります。一般に暑がりの人や子供さんほど好きではないようで、この薬草を今だ必要としないのだと思われます。逆に婦人病の女の人ほど好きな人が多いようで、香りでこの薬がその人に合うか否かを決定する手段に使うことがあり、これも漢方の奥深さの一つだと思います。