生薬名"タラ根皮"
タラノキの芽は"タラの芽。といって、若芽が山菜料理の王として非常に有名です。山で採取したものを、天ぷらにしてよし、焼き味噌をつけて味噌田楽にしてよし、早春の味を満喫させてくれます。タラノキは、日本各地と朝鮮半島・中国東北部・シベリア東部に広く分布しています。
落葉性の高さ五メートル前後の低木で、幹は、直立してのびて上の方で分枝します。幹・枝ともに鋭い刺があり、葉は一メートルくらいもある大きい葉で互生していますが、ほぼ四方に傘のように突き出します。全体がやや小型で、刺の少ないものをメダラといい、山草として食用にするには、こちらがよろこばれます。
斡皮・根皮を秋か三月ごろに採取して、水洗いしてきざみ、日干しにします。薬効は根皮の方がよいとされ、幹皮は五割増しの量を用います。
根皮または樹皮が糖尿病の妙薬として広く民間薬として広く用いられています。その他、健胃・整腸・強壮の効果があって胃腸病や胃がんに用いられることもあります。
(一)糖尿病には一日量タラ根皮二〇gに水600mlを加え、約三分の二量に煎じて一日三回に分けて食間に服用します。タラ根皮二〇gに連銭草(カキドオ シ)一二gラ・一位葉(イチイ)一五gを混ぜて、八○○mlの水で約三分の二量になるまで煎じて一旦二回に分けて服用すると一層効果があります。その他の 糖尿病薬とされる枇杷葉や蕃果・蘭草(フジバカマ)なども一緒に加えて煎じられています。
(二)胃腸病・関節炎・神経痛に一日量二〇gを煎じて同様に服用します。
(三)以前に胃癌に効果があると報告されたことがあり、民間で現在も用いられています。
最近では過食傾向の方が多いためか、糖尿気味の患者さんが増えつづけています。日頃の摂生と共に、タラの根で更なる改善を試みてみられると良いと思います。