ウイキョウ(セリ科)
生薬名"茴香(ういきょう)"
生薬名"茴香(ういきょう)"
■ 解説
地中海沿岸地方が原産地ですが、日本には江戸時代に中国を通じて渡来しました。魚を煮る時にウイキョウの果実を入れると生臭い臭いが消え、本来の香りが回復するというので"茴香"の名前がついたとされます。現在、佐賀県内では生け花用としても栽培されています。どこでも育ちますが、栽培には夏涼しくて排水の良い所が適しています。
■ 形態
茎は高さ1・5~2m位迄育ちます。6~8月頃に枝先にやや大型の複散形花序をつけます。多数の黄色の小花があり、花は花弁が5枚で内側にやや巻き込んで塊状に見えます。果実は分離果で、熟すると2分果に分かれます。
■ 採取と調整
果実が完熟する一歩手前の時期の、果実のへこみが黄色になって、周囲に緑の部分が残っている頃に刈り取ってから天日で乾かし、叩いて果実を集め、2~3日日干しにしてよく乾燥させてから使用します。
■ 薬用途と用い方
芳香性健胃剤として食欲を促進するとともに、胃腸疾患に効き目があります。消化不良によりお腹にガスがたまって苦しいときにガスを抜く働きがあり、その他にも胃痛、冷えによる腹痛改善、腎臓強化、腰痛改善、去痰等にも使用されます。
それと、ウイキョウのもう一つの重要な作用として注目を集めているのが抗アニサキス作用です。大型魚やイカなどをお刺身等の生で頂く場合はどうしてもアニサキスという寄生虫を一緒に摂取してしまう可能性があり、これは胃を刺激して激痛を起こすなどやっかいな寄生虫です。
しかし、あらかじめウイキョウを服用しておくとアニサキスの活動を抑制する働きがあり、とても有効です。粉末は1日量1・3~3gとして数回に分けて服用します。煎剤として使用する場合は1日量5~10gを用いて3回に分けて服用します。市販の漢方胃腸薬の中にもウイキョウを配合したものがあり、これも良いようです。