ムクゲ(アオイ科)
■ 解説
夏に涼やかで優しい大輪の花を咲かせる落葉低木です。耐寒性と耐暑性を併せ持ち、挿し木としてもよく育つ上に7~10月位まで毎日花を咲かせます。そのため、この花を強靭な精神力、国家の発展と繁栄の象徴として、お隣の国韓国では国花として親しまれています。
■ 形態
幹は直立して分枝し高さ3m位に生長します。枝はしなやかで強靭であり、葉は卵形で互生し夏~秋にかけて開花します。朝開くと、夕方にはしぼんでしまいますが、花がしぼんだ後には次の花が開花していくので花期が長く続きます。花色は種々あり、赤紫色のものが多く、赤色の強いものや白色系統のものもあります。薬用としては一般的に白色の花が適しているようです。
■ 採取と調整
夏~秋にかけて白花を採集します。蕾が少し開きかけた頃のものが良いようです。採集したら日干しで充分に乾かします。虫がつきやすいので毎年新しいものと交換して保存します。これを生薬名で木槿花(モクキンカ)と言います。若葉や花は、煮て食べることもできます。
■ 薬用途
花は下痢止めに、樹皮は水虫などに用いられます。昔は赤痢の際にモチ米のお粥の中に白花を入れて食べさせたと言います。
①胃腸炎、下痢、に木槿花10gを煎じて1日3回に分けて飲みます。不眠症、かぜ、利尿、こしけにも同様に用いて良く、花が無い時は葉を用いて代用します。
② 土用干ししたムクゲの木の皮(生薬名=木槿皮)の5%ホワイトリカー漬けを水虫に使用します。木槿皮10gを細かく刻んで45度ホワイトリカー200ml に漬けます。樹皮はできるだけ夏場の土用の頃に採集してよく乾燥させたものを使用します。3~6カ月後にその液を濾して患部に塗ると良いようです。薬局の 店頭で売られている水虫薬の中にも木槿皮エキスを使ったものがあります。