ショウブ(サトイモ科)
生薬名"白菖(はくしょう)"
生薬名"白菖(はくしょう)"
■ 解説
ショウブは、古来より5月5日の端午の節句(たんごのせっく)に葉をお風呂に入れて入浴する"ショウブ湯"の習慣で大変有名ですが、これはショウブの葉には、身体を暖めて特に子供の腺病質を改善する働きがあることからきています。ショウブは同じサトイモ科のセキショウという植物によく似ています。セキショウはショウブよりやや小ぶりで葉が30~50cm位(ショウブは50~80cm位)ですが、元来、ショウブ湯にはセキショウの方を用いるのが正しかったそうです。しかし、セキショウではにおいが強すぎたため、次第ににおいの弱い庭園の観賞用だったショウブの葉を入浴剤として用いるようになったのです。
■ 採取と調整
冬季に根茎を掘り取り、ひげ根を取り除いてから水洗いしたのち日干しにします。太いものは乾燥しにくいので縦割りにします。これを生薬の"白菖(はくしょう)"といい、またの名を"菖蒲根(しょうぶこん)"といいます。
■ 薬用途
根茎には鎮静、鎮痛、鎮痙、鎮咳、去痰、血圧降下の作用があり、食欲を促進して慢性の消化不良、胃炎、腹痛、咳、ヒステリーなどに用いられます。根茎をきざんで、軽く一握り分を布袋に入れて適量の水で煮沸し、冷めないように袋ごと湯船に移して入浴するのが"ショウブ湯"です。神経の緊張をほぐしながら血行を良くして体を温めてくれるので神経痛やリューマチにも良いようです。