生薬名"十薬(全草)"
ドクダミは、ヨモギ、オオバコ、ゲンノショウコと並んで民間薬として最もポピュラーなものです。
特有の臭気によって大いに一般に知られており、何か毒でもたまっているのではないかということで最初は“ドクダメ”(毒溜め)と呼ばれ、それから”ドクダミ“の名に変化したとされています。
十薬の名の由来については、日本古来の医書「大和本草」(17〇8)に「わが国の馬医これを馬に用いると、十種の薬能があるので、十薬という」と書かれています。
地下茎は白色円柱状で、横に長くのびて繁殖します。
茎は30cmくらいになり枝分かれして赤みをおびていますが、つるつるして毛はありません。
葉は広卵状心臓型で毛が無く、青みと赤みをおびた暗緑色で柔らかい質を有しており、葉の付け根には托葉(たくよう)があります。
花は初夏から夏にかけて茎の上方からのびた花軸の先に穂状花序(すいじょうかじょ)として淡黄色で非常にこまかい多数の花をつけます。
花穂(かすい)の下に白く花弁のように見えるのは、葉に近い性質の苞(ほう)で、一般には花びらだと思われています。ほんとうは花弁もがく片もなく、おし べ、めしべだけをもった小さな花が密生しているのです。黄色に見えるのはおしべの先端の葯(やく)と呼ばれるものです。
北海道の南部から本州、四国、九州と各地の陰地に普通に野生する多年性草本で東アジアに広く分布します。
5~6月の花が咲いている時期に、根を含めた全草を採取して日干しにします。生の葉は随時必要なときに採取します。
ドクダミは特有の臭みがありますが、高熱により消失するので若い芽をてんぷらにするとおいしく食べられます。
江戸時代の飢饉のときには根を食べた記録が残っています。
化膿性の腫れ物には、取りたての新鮮な生の葉を水洗いし、新聞紙などに包んで火にあぶり、柔らかくなったら、はれものの大きさに折って患部にあて、絆創膏 で止めておくと、膿を吸い出しはれがひいてきます。毒下し、利尿、便秘、高血圧予防には乾燥した十薬を煎じて飲みますがくさみはありません。
十薬20~30gと?苡仁(よくいにん)10gを煎じ、お茶代わりに飲みますと便通を整え、十薬中の薬効成分の作用によって、血圧を調整する働きがあります。
葉の独特の臭いは乾燥させると成分が変化して無臭となります。
しかし、この臭いの成分には強い抗菌性や坑かび性があり、とくに水虫などの頑固なかびに対して発育阻止作用があるため、生のドクダミ葉を患部にすりこむと効き目があります。
ドクダミも今からの時期、夏まけ予防や体内の毒消しになる薬草ですので、日頃の服用がお勧めです。