ヨモギ(キク科)
生薬名"艾葉(がいよう)"
生薬名"艾葉(がいよう)"
■ 解説
ヨモギほどどこにでも生えていて、しかも食用に薬用にと多方面に有用な薬草も少ないと思います。
昔から邪気を払う草として、いろいろな民族行事に用いられてきました。
3月の草餅に入れたり、5月の節句には菖蒲やススキと共に軒にさして陰性の鬼を払うものとされました。お灸のモグサはヨモギの葉裏の毛を集めたもので、別名サシモグサの名があり、伊吹山のモグサが良品とされています。
■ 採取と調整
いつ採集してもよいのですが、花のつかない6~7月頃がよく生長した茎葉に薬効がありよいようです。
日陰でよく乾燥したものを艾葉(がいよう)といいます。
民間では根をよく用いますが、根を採取するときはいつでもよく、水洗いして用います。
■ 薬用途
艾葉(がいよう)は体を温め、食欲増進、胆汁分泌促進、止血などの作用があり、冷えによる腹痛、むねやけ、下痢、便秘、鼻血、血尿、痔などに1日量5~8gに水0・4リットルを加えて煎じ、約2分の1量まで煮詰めたものを食間に服用します。
新鮮な若い茎葉をしぼって青汁を作り、砂糖を加えて服用すると血圧を下げ、消炎の効果があるため、胃腸のよわいもの、高血圧、神経痛に用います。
早春の若いヨモギの芽はビタミン類に富み、草餅や草団子、和え物として食べますが、新鮮な若芽を水でよく洗って、水気を取り、衣をつけてテンプラとしたり薬草丼にしたりします。
浴剤としては、艾葉(がいよう)約300gか生のヨモギ葉約600gを木綿の袋に入れて用います。ヨモギ風呂は水を入れた段階からヨモギを入れて沸かします。腰痛、腹痛、痔の痛みによく効きます。
その他、漢方薬の?帰膠艾(きゅうききょうがいとう)という処方は、ヨモギの止血作用を利用して各種出血に用いられ、妊娠初期の流産予防にも効果を発揮します。