ナツメ(クロウメモドキ科)
生薬名"大棗(たいそう)"
生薬名"大棗(たいそう)"
■ 解説
南ヨーロッパからアジア西北部・中国に自生し、日本にも古くから渡来して食用や薬用に供されていたようです。
その名の由来は“夏に芽が出るからナツメ”という説と“お茶に使う抹茶入れのナツメに果実が似ているからという説がありますが、前者の説の方が多いようです。
■ 採取と調整
11月頃に採取します。暗紅色に熟した果実 は生で食べたり、甘味を加えて煮たりしますが、日干しで乾燥してから蒸して、再び日干しにしたものを生薬の大棗(たいそう)と言います。
このような処理をしたナツメは保存に強く、このまま食べたり、薬としても用いることができます。
■ 薬用途
漢方の分野ではよく使用される生薬の一つで、強壮、利尿、鎮痙(ちんけい)、鎮静などに応用されます。
とくに、痙攣による痛みや急迫症状、知覚過敏などの症状を緩和し、他の薬物の作用をおだやかにする働きがある為、たくさんの漢方薬に配合されています。
大棗は大変美味で、漢方薬を作る時に一かけら二かけら口の中に放り込むと、果物独特の何ともいえない良い香りと味で口の中を満たしてくれます。
煎じ薬にしてしまうと、他の生薬の味がブレンドされてしまってナツメ本来の味が消えてしまうのが残念ですが、大棗の乾燥品は手軽に手に入れることができますので、そのままやナツメ酒で一度味わってみられると良いでしょう。