オナモミ(キク科)
生薬名"蒼耳子(そうじし)"
生薬名"蒼耳子(そうじし)"
■ 解説
低地の道端や荒地に多く、時に大群落を形成しています。
アジア大陸原産で、日本にはおそらく稲作文化が伝来した頃に渡来した帰化植物といえます。
果実のとげはかぎ状で服にくっつくと取れにくく、子供の頃、これを服に付け合った記憶をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
■ 形態
高さ1m位の一年生草本で年内には枯れてしまいます。
草全体に荒い毛が密生して葉は長い柄をもって互生し、へりには不規則の刻みや粗い鋸歯があり三本の歯のスジがはっきりしています。葉はもむと特有の香りがあり、夏~秋の頃小さい花が枝先につきます。
実は楕円形で長さ2cm、巾1.5cm位の大きさで、先の曲がったとげが密生してつかむと痛く、この実が生薬の"蒼耳子"です。
■ 採取と調整
晩秋~初冬にかけて実が褐色~黒褐色になった頃に摘み取って天日で乾燥させて使用します。
また、5~6月頃に全草を取り除いて天日で乾燥したものを蒼耳(そうじ)といい、これも薬用として使用します。
■ 薬用途
オナモミは、中国最古の薬物書である「神農本草経」に使用方法が記載されており、以外と古くより薬用として服用されていたようです。
主に鎮痛、鎮痙、解熱、発汗作用があり、かぜによる頭痛発熱に蒼耳子10gを1日量として水400mlを加えて約2分の1量になるまで煎じたものを1日3回に分けて服用します。神経痛や蓄膿症にも同様の服用方法で用います。また、蚊や蜂に刺された場合には生葉の汁を塗ると良くなるそうです。但し、蒼耳子にはわずかですが毒性があり、多量に服用すると人によって頭痛やめまいを伴うことがありますので服用量に注意が必要です。また、妊婦の方の服用は避けた方が良いでしょう。