生薬名"鬱金(根茎)"
ウコンはインドが原産で、高温多湿を好む植物で、インドから東南アジアの熱帯・亜熱帯に分布するショウガ科の多年性草本植物で、日本で自生が確認されているのは沖縄と鹿児島の一部だけです。霜の降る所では温室で越冬させなければなりません。
ウコンには、春に花が咲く「春ウコン」、秋に花が咲く「秋ウコン」、それに「紫ウコン」とよばれる「ガジュツ」の3種類のショウガ科ウコン属があります。春ウコンは、正式にはキョウオウ(薑黄)と呼ばれ、秋ウコンに比べると生産量がずっと少なく、重宝されています。秋ウコンは主に食品(カレー粉・たくあん等)の色素や染料(ウコン染等)として利用されます。カジュツはウコンと似ていますが、ウコンに比べて苦味(にがみ)が強く、切り口が淡い紫なので「紫ウコン」と呼ばれ、俗に「弘法(大師)の石芋」とも言われています。他にもウコンには70ほどの種類があります。
一般に11月に入ってウコンの葉が茶色く枯れたら、葉を切って根茎を掘り起こします。蒸したのち天日で乾燥させます。味はやや苦く刺激性で特異の香気があり、なめると唾液が黄色に染まります。
肝臓は体の中でも大変重要な働きをする臓器です。胆汁の分泌、脂肪の消化促進、各種栄養素の代謝、アミノ酸・ブドウ糖・ビタミンなどの栄養素の貯蔵・血液の貯蔵・有害な物質の解毒・排出、ホルモン・体温調節などさまざまな働きをしています。しかし、現代人はストレス、お酒やタバコの吸いすぎ、不規則な生活、偏食などで肝機能を著しく低下させているといわれています。その結果、アルコール性肝炎。脂肪肝、肝硬変、慢性肝炎、肝ガンなどの病気が近年増加しています。
ウコンに多く含まれるクルクミンには胆汁の分泌を促進させ、肝機能を強化する働きがあります。すなわち、ウコンのクルクミン成分が胆汁の分泌を高めることで肝臓の機能全般を強化するのです。先日も、C型肝炎の方で肝指数であるGOT・GPTの数値が高い方に、その方に合わせた漢方処方と同時にウコンを服用していただいたのですが、約2カ月で正常値に戻られたという事がありました。肝臓に負担をかけないように注意しながら、いたわるように心がけられると肝臓病も悪化することなく良い状態で維持ができるようです。