シャクヤク(ボタン科)
生薬名"芍薬(根)"
生薬名"芍薬(根)"
■ 解説
シャクヤクは、北朝鮮、中国東北部、蒙古、シベリア地方が原産で古い時代に中国から薬用として日本に渡来したものです。足利時代にはすでに日本で栽培された記録があり、ボタンよりも先に渡来しています。薬用にするには白花がよいといわれていますが、ほかの色のものでも薬効に大した差はないようです。
■ 採集と調整
種まき、植えつけから5年目の秋(10~11月頃)に、根を掘り取り10cmほどに切り、水と砂と根をタンクに入れ、これをかき混ぜて外皮を取り除きます。外皮が取れたら更に水洗いし、むしろなどに広げて日干しにします。これを生干(しょうぼし)芍薬と呼びます。
■ 漢方薬
漢方処方である芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、急に起こる筋肉のけいれんによる痛みに効き目があり、胃けいれん、神経痛、胆石などの疼痛発作に、1日量を煎じて1回で頓服(とんぷく)とします。芍薬が、なぜ痛みに効果があるのかというと血流改善の働き、即ち活血(かっけつ)作用があるからです。血流が停滞すると"通じざれば即ち痛む"のことわざどおりに痛みが生じます。この血流の停滞を芍薬は取り除いてくれるのです。あらゆる痛みに芍薬は使用できますが、痛みを取り除いた後は痛みが起こりにくいような体質改善を、他の漢方薬などで行う事がとても大切です。
■ 薬用途
「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」という漢方の古書には、芍薬の効能について、腹痛、知覚異常、刺すような痛みや発作性の痛みを取り、利尿の効き目があって神経の安定にもよいと書かれています。芍薬は漢方の要薬であり、ことに婦人薬として利用度が高く、筋肉のけいれんからくるひきつりを和らげ、腹痛、疼痛、下痢などに用いられています。