ヒノキ(ヒノキ科)
■ 解説
和名のヒノキは「火の木」の意味で、大昔の人がこの木をこすり合わせて火を起こした事に由来します。ヒノキはマツ、スギと共に三大建築材の一つですが、マツのようにマツクイムシにやられることが無く、スギに比べて材質が緻密で狂いが生ぜず高貴な色調と光沢、芳香の点で他の木材の追随を許さぬ美点をもっているため人気第一位にランクされます。従って値段も高く植林事業として将来が期待されており、長崎県では県木にも制定されています。
■ 形態
常緑針葉高木で樹幹は直立しています。枝条は細く水平に開出して卵形の樹幹を形成し先端は円形を呈します。樹皮は赤褐色で外面は灰色を帯びています。葉は鱗状で交互に対生し、上面は濃緑色をしています。
■ 採取と調整
家庭で薬用とするのはヒノキの節と枝葉の部分です。節の多い部分は製材所に行くと分けてくれることがあるのでこの部分を集めて使用します。枝葉の部分は植林業者が行う木の下刈りや枝打ちの際に分けてもらうと良いでしょう。
■ 薬用途
昔から「リウマチにはヒノキの節が良い」という言い伝えがあるそうです。実際にこれを試した漢方の大家、故大塚敬節先生の紹介によると、ある患者に「ヒノキの節3~4gを水4~5合で煎じ一日量として服用させたところわずか5、6日でリウマチの頑固な疼痛がよくなった」とあります。リウマチは現代医学でも難治の病気の一つですが、漢方では体質に合えばこのように劇的な効き目が現れることがあります。リウマチで苦労されている方は一度東洋医学のお薬を試みられてはいかがでしょうか。また、神経痛、リウマチには枝葉を煎じた液をお風呂に入れて入浴剤として使用しても良いですし、水虫には枝葉を焼くときに出る煙でいぶすと良いとのことです。