ヒシ(ヒシ科)
■ 解説
北は北海道から南は九州、朝鮮半島や中国に分布し、古い池や沼に見られます。クリークの多い佐賀平野は昔からヒシの多産地として知られており、ヒシの名の由来は、水面に浮く葉の形が「菱形」であることから出たとされています
■ 形態
葉の表面につやがあり、上部のへりには鋸歯(きょし)があります。一年生の水草で、水中の泥の中にあった実から芽を出し、細長い茎はやがて葉を水面に浮かべるようになります。夏になると白い花を葉の間から出し、果実は両側にとげを持ち角張った形をしています。
■ 採取と調整
9~10月頃に果実を採取し、水洗いした後に天日で乾燥させて使用します。
■ 薬用途
ヒシは昔からガンに効く薬草と言われ、特に子宮ガンによいといわれています。用い方は1日量50gを煎じ、食前に3回に分けて服用します。また、ガンのくすりと正式に認められてないが、ガンの方によく使用するくすりの一つに「WTTC(ダブリューティーティーシー)」があります。これは昔から民間療法でガンに効くと伝承されてきた薬草を集めてくすりにしたもので、内容はフジの瘤、ヒシの実、訶子(かし)、ハトムギの実、の4種を煎じてエキスにしたものです。臨床実験の結果でもある程度の延命効果や再発予防効果があったといわれています。また、ヒシの実は単独使用よりも、フジの瘤との混合エキスのほうが強い効果が得られるといった発表もあります。これらの先人の知恵を生かしたお薬にその方の状態や体質に応じた処方を組み合わせて服用いただくと劇的に良い結果が得られることがあり、自然力の素晴らしさの現れだと思います。