生薬名:薤白(がいはく)
ラッキョウはユリ科に属する宿根性草木で、薬用植物として、中国では紀元前3世紀以前から栽培され、日本へは9世紀頃までに薬用として伝来したものです。昔は、日本のどの家庭でも梅干しやラッキョウ漬けを常備食として作っておいたものですが、最近は広く市販されていることから作り置く家庭は減ってきているようです。ラッキョウは、ニンニクやネギなどと同じ仲間です。辛さと鼻を強烈につく匂いは、ネギ類共通の塩化アリルという成分によるものです。ラッキョウは中国では今でも多く用いられていますが、欧米ではまったく食用とされていないようです。
鱗形(りんけい)は狭卵形で、葉は束生します。葉は細長く、約20cm位です。秋に枯れた葉の鱗形から50cm余りの花茎を出し、先端に美しい紫色の小花を球状につけます。しかし、種子はできず、古い鱗形には数個の新しい鱗形ができて繁殖します。
冬を越して初夏に鱗形が成熟して休眠に入るので、このころに掘りあげて収穫します。8月ころに休眠から覚めるので、種球を畑に植え付けます。ラッキョウは排水のよい土地を好み、主産地は鳥取県の砂丘地帯や富山県などです。
・心臓病に・・・ラッキョウにはビタミンB1の吸収をよくする働きがあります。このため、体内で必要な代謝を活発にします。ビタミンB1が不足すると、血液が酸毒化し、体内の新陳代謝がスムーズにおこなわれないため、イライラや神経過敏が起こり、心臓にも負担をかけることになります。しかし、ラッキョウの働きによってある程度心臓病を防ぐことができるので、昔からラッキョウは薤白(がいはく)の名称で心臓病などに効果のある漢方薬にも配合されています。
・下痢・整腸に・・・ラッキョウのニオイの成分である塩化アリルは、非常に強い抗菌性物質です。ビタミンB1の吸収を高める働きとともに、腸を整えるので、下痢の予防になります。
・生理痛に・・・ラッキョウは保温効果と血液の循環を良くしますので、生理痛にも良いようです。