ゴボウ(キク科)
生薬名"牛蒡子(ごぼうし)"
生薬名"牛蒡子(ごぼうし)"
■ 解説
ゴボウはキク科の越年草で、ユーラシア大陸に広く分布し、日本へは千数百年前に中国を経て薬用として入ってきたといわれています。
ゴボウの根を食用として食べるのは日本だけで、ヨーロッパでは葉をサラダにして食用にするそうです。その為、品種改良においても日本では根を長くすることに、ヨーロッパでは香りを高めることを主眼に行っているそうです。
漢方薬としてはゴボウの種子である牛蒡子を使用します。これは解熱、解毒などに作用があり、風邪くすりや皮膚病のくすりなどの多くの漢方処方に配合されています。
■ 形態
種まきしてから2~3年目の春に高さ1~1.5メートル位に成長し、枝先に淡紫色でアザミの花のような花をつけ、7月頃に果実ができます。
■ 採取と調整
薬用で使用する牛蒡子は、夏から秋に成熟した果実を天日でよく乾燥し、種子を取り出してからさらに天日でよく乾燥してから使用します。
品質としては、よく成熟して大粒で新しく、外皮が灰褐色のものがよいとされ、年を越して古くなったものは良くないとされています。
■ 薬用途
薬用としては洋の東西を問わず、解毒作用のある薬草のひとつとして感染症、おでき、荒れ性、慢性皮膚炎の治療に用いられてきました。
1日6~10gを煎じるか少し炒って粉末にして3回に分けて服用します。
また、牛蒡子配合の柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)や消風散(しょうふうさん)という漢方処方は、アトピー性皮膚炎や慢性皮膚炎に当薬局でもよく使用する薬方で、頑固な皮膚病によく奏効するようです。
慢性病の場合は、一時的に症状を抑えるだけでなく体の下地をきちんと整えることが大切ですが、漢方の場合はその目的に沿った薬方が多いと思います。