アケビ(アケビ科)
"木通(もくつう)"
"木通(もくつう)"
■ 解説
佐賀の方言で別名"ウベ"と呼ばれるこの植物は、果実が熟すと縦に割れ目ができて口を開けることから「開け実」が名前の由来といわれ、果実は日当たりのよい所にはできず、狭い谷間や木陰で実る傾向があります。日本、中国に分布し果実は好んで食べられています。
■ 形態
アケビのつるは多数の枝を出して、巻きついた木を被い尽くす程になり、細く長いが丈夫で強いです。4月頃、若葉と共に紫色の花が房になって垂れ下がり、雄花と雌花が同じ房につきます。雄花は大きく特異な形なので、すぐにそれとわかります。これが秋になって実になって食べられるあけびになります。
■ 採集
アケビは木質茎を晩秋に採取します。約10cmの長さに切り日干しにします。薬用に用いる場合は薄い輪切りとしますが、これは生薬名で"木通"といいます。
■ 薬用途
腎炎、尿道炎、膀胱炎などのむくみに利尿剤としての効き目があります。木通3~6gを1日量として、水0.5リットルを加えて弱火で煎じ、約半量まで煮つめて布でこし、3回に分け食前か食間に服用します。この煎液は皮膚の"できもの"の洗浄に外用薬として利用できます。アケビの木質茎は、漢方生薬の"木通"と呼ばれるものですが、利尿作用を利用して"竜胆瀉肝湯"(りゅうたんしゃかんとう)や"通導散"(つうどうさん)などの漢方薬の処方材料として使用されています。アケビは唐津近辺でも自宅の庭で栽培したり、裏山で取れたりして患者さんがよくお店に持ってきて下さるので食べさせて頂く機会があるのですが、ほのかな甘味のある独特の食感が晩秋を感じさせてくれます。