シュンラン(ラン科)
■ 解説
シュンランは、名前のとおり春に咲く野生の蘭ですが、ラン科の優雅な他の花と違って淡緑色の地味な花です。その分、質素な佇まいの花で味わいがあって好きという方もおられるようです。北海道から鹿児島の種子島までのかなり広い範囲に自生してどこにでも見られた花ですが、最近の野生蘭ブームの影響を受けて、乱獲のためすっかり数を減らしてしまっているのが現状のようです。
■ 形態
ラン科の中ではこの類をシンビディウムといいます。今日では洋蘭のシンビディウムが出回っていますが、シュンランは日本蘭の代表格と言えます。花茎は高さ10~25cm、シュンランの葉は地面からまっすぐ伸びた固い緑の線形をしており、幅は0・5~2cm程度、縁に鋸歯があり、この葉が株ごとに地面から群れになって伸びています。このシュンランはよく見ると淡黄色の唇弁に紫色の斑点があってなかなか愛嬌のある表情をしています。
■ 採取と調整
必要の都度(主として冬)、根を採集して使用します。保存するには水洗いして日干しにして乾かします。しかし、最近では山野の自生品が減っているため、できるだけ栽培品を用いるべきでしょう。
■ 薬用途
①アカギレに多肉の根をとり、指でもんでいると次第に粘り気が出てきて餅のようになります。
これをアカギレにつけます。
②根を煎じて服用すると膵臓によいとのことです。
③止血には、シュンランの果実を割った時に中から出てくる粉を傷につけると有効です。