製剤・民間薬
民間薬
クチナシ
クチナシ(アカネ科)
生薬名"山梔子(サンシシ)"
■ 解説

静岡より西の本州、四国、九州、そして台湾や中国の暖地に自生し、低山帯の南斜面に見られる常緑の低木です。観賞用としての品種も多く、庭園によく見かけます。梅雨のころ直径6センチくらいの白い花を開き、上品な芳香を放ちます。芳香は真夜中がいちばん強く、これは昆虫の活動時間に匂いでおびき寄せて、受粉をしてもらうためとおもわれます。晩秋、果実はダイダイ色に美しく熟し6つの稜(りょう)のある長楕円形になります。果実は熟しても口を開かないのでクチナシ(口なし)の名になったとされます。薬用にはクチナシのほかコクチナシや園芸品種の果実も使用できますが、ハナコクチナシのような八重咲き品種には果実ができません。

■ 採集

完熟した果実は、11月頃霜が降りた後に採取し、数珠(じゅず)つなぎにして風通しのよいところで陰干しします。これを生薬で山梔子(サンシシ)といいます。未熟のものは色素含量が少なく、薬用には適しません。

■ 食用

白色の花弁は芳香があり、わずかに甘味もあって、生のままや煮ても食用にすることが可能です。

■ 着色料

クチナシは飛鳥時代の昔から黄色染料として布地や、たくあん漬けなどに利用されてきました。生活に深く結びついた植物といえます。

■ 栽培

栽培は大変容易であり、繁殖も梅雨時期に枝先を挿し木すれば簡単にふやすことができます。

■ 薬用途

煎じ液の薬理実験では胆汁分泌促進、鎮静、血圧降下作用などが認められています。また、古くから消炎、利胆、止血薬として多くの病気に用いられてきました。煎用するには、1回2~3グラムを0.2リットルの水を加えて煎じ約半量になるまで煮詰め、食前に飲みます。山梔子は冷やす働きが強いため胃の弱い人が多量に用いると、かえって胃の働きを弱めるので、用量には注意が必要です。生薬には温めるものもあれば、冷やすように働くものもあるので状況に応じて使い分けることが大切です。