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腰痛
腰痛とは
腰痛とは病名ではなく、さまざまな原因によって引き起こされる腰の痛みの総称です。その多くは、筋肉・椎間板・椎間関節に起こる問題が複雑に絡み合いながら発症します。昔から腰痛・坐骨神経痛と言って養生していましたが、今では医療機関で、腰部捻挫・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症などの病名が付けられています。また、内臓や腫瘍の反射による腰痛もありますので、医療機関での検査等は重要になってきます。

腰痛の原因
・ ぎっくり腰
西洋では「魔女の一撃」とも言われます。原因はいろいろとあるようですが、腰の捻挫であったり、腰の筋肉の肉離れであったり、腰椎の椎間板のヘルニアなどと言われます。重い物を持った時に発症するイメージがありますが、ちょっとした動作の時にも発症します。このような場合は、ストレスや積み重なった疲労が関与していると言われます。
・ 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、線維輪にできた裂け目から、髄核が外に飛び出た状態を言います。発症は20~40代が多く、急激な腰痛から始まり、しばらくして腰からお尻、さらに大腿部の裏側にかけて痛んだりしびれたりするのが一般的です。原因として、大きな圧力、同じ姿勢などの慢性的な圧力により線維輪が傷つけられるためです。椎間板はある程度の年齢になると、水分が少なくなりますので髄核が外に飛び出す弾力がなくなり、40歳以降は発症率が低くなります。
「ヘルニア」
 ヘルニアとは何らかの理由で、組織にできた裂け目から、組織の内容物が外に出てしまう状態の総称です。
・ 腰痛症
レントゲン、CTスキャン、MRIなどの画像診断、血液検査をしても異常が見られず、さらに神経学的にも問題がない慢性の腰痛を、「腰痛症」と呼んでいます。この腰痛症はすべての腰痛の半分以上を占めています。
なんとなく始まり、なかなか治らないのが特徴です。痛みは、痛む部分が特定しにくく、筋肉の痛みか、骨の痛みなのか分からないことが多いようです。
原因として、姿勢・肥満・運動不足・ストレス・生まれつきなど、いろいろな問題が考えられます。
・ 腰部脊柱管狭窄症
50代以降の高齢者に多く発症し、加齢とともに症状が悪くなります。
椎骨・椎間関節・椎間板の変性によって、脊柱管という骨のトンネルが狭くなる病気です。脊柱管には神経と血管が通っていて、神経はこの血管の血液によって酸素と栄養を供給されます。この神経は脚の運動をつかさどっているため、脊柱管が狭くなって神経と血管が圧迫されると、脚がしびれたり、重く感じたり、歩行困難になります。腰をかがめたり、しゃがみこんだり、椅子に座って休むと、脊柱管の圧迫は緩むので、神経・血管が元に戻りまた歩けるようになります。
・ 変形性脊椎症
変形性脊椎症の原因は、脊椎の老化現象です。40代以降、年齢が上がるにつれて発症率が上がっていきます。女性より男性に多く、長年腰に負担を掛けてきた人ほど、発症の可能性が高いようです。痛みの特徴として、朝起きたときの、こわばった感じです。しばらく時間がたち、体を動かすことによって筋肉がほぐれると痛みが消えていきます。症状が進行すると、痛みやしびれが、お尻や脚におよんできます。
・ 骨粗鬆症
骨量が減少し、骨がスカスカになってくる病気です。閉経後の女性に多くみられます。
原因として、加齢によるホルモンバランスの乱れ、カルシウムの摂取不足、運動不足、薬剤による副作用、また、喫煙・飲酒・カフェイン・食塩、糖分の過剰摂取・ストレスはカルシウムの吸収を妨げ、排泄を促進します。
骨粗鬆症はカルシウム不足がイメージにありますが、カルシウムだけではありません。カルシウムは骨の鉄骨部分を強化しますが、骨の柔軟性は別問題です。骨の柔軟性を高めるには、水分・ミネラル・アミノ酸等が必要になります。
・ 脊椎分離症
脊椎分離症は10代の青少年や比較的若い成人で、中でもスポーツをしている人に多いのが特徴です。原因として、未熟な骨に繰り返し圧力がかかり、疲労骨折を起こしていると考えられます。脊椎分離症は、初期段階で適切な処置をしておけば、たいてい回復するものですが、放置しておくと腰椎が前方にすべる、腰椎分離すべり症という病気になることがあります。
・ その他
腰以外に原因があって起こる腰痛もあります。婦人の病気では、卵巣や子宮の腫瘍・子宮内膜症・子宮内膜炎など。胃腸の病気では、胃潰瘍・胆のう炎・膵炎・腎盂炎・尿路結石など。また、腹部大動脈瘤、肛門周囲腫瘍、頑固な便秘などでも腰痛はおこります。

治療(西洋医学)
投薬・リハビリ → 筋肉注射 → ブロック注射 → 外科的治療(手術)

病院より処方される薬として、痛み止め・筋弛緩剤・ビタミン剤・プロスタグランジン誘導体・骨粗鬆症の薬・漢方薬があります。
・ 痛み止め(ロキソニン・ボルタレンなど)
痛み止めには飲み薬・貼り薬・塗り薬・座薬があります。痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンという物質が体内で生産されるのを妨げます。副作用として、胃腸障害がありますので、胃薬を処方されることもあります。
・ 筋弛緩剤(テルネリン・ミオナールなど)
筋肉を緊張させている神経を鎮める働きがあります。肩こりや手のこわばり、頭痛などにも処方されます。副作用として眠気・脱力感・ふらつきがあり、車などの運転は注意が必要になります。
・ ビタミン剤
ビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンEが使用されます。

ビタミンB1・・糖の代謝を促進してエネルギーを生産し、神経や筋肉などにエネルギーを供給する働きがあります。
ビタミンB6・・アミノ酸の代謝や神経の伝達に欠かせない補酵素の役割があります。
ビタミンB12・・細胞の発育や機能を正常に保つのに必要になります。葉酸と協力して血液を造るのに欠かせません。傷ついた末梢神経を修復する働きを持っています。
ビタミンE・・抹消の血液循環をよくして、腰痛・肩こり・冷え・しもやけなどの症状を改善します。また細胞を傷つける活性酸素を抑え、老化の原因と言われている過酸化脂質の増加を抑えます。またニコチン酸を合わせた薬が多く、ニコチン酸は血液中の脂肪分を低下させたり、血行をよくする働きがあります。
・ プロスタグランジン誘導体(オパルモンなど)
腰痛の治療で使用するものは、プロスタグランジンE1というものの誘導体で、血管の拡張や血液凝固を調節する働きがあります。このお薬は、脊柱管狭窄症だけに適応されています。
・ 骨粗鬆症(フォサマック・ボナロンなど)
骨粗鬆症にはカルシウム製剤・ビタミンD製剤・ホルモン調整剤・破骨細胞抑制剤などがあります。中でも主流は破骨細胞抑制剤です。
・ 漢方薬
病名漢方に従ったお薬を処方されます。どうしても保険適応になりますので、証に合わない場合もあるようです。
漢方では?
漢方医学では、腰痛は体外からの風寒湿の邪が侵入して生ずる外感性のものと、体内の気血不足や瘀血、気滞が原因になる内傷性のものに分けられます。外感性の腰痛は外邪が虚に乗じて経絡に侵入した結果、気血が滞って、急性あるいは慢性の腰痛を生じるものです。
また、「腰は腎の腑」され、腰痛は腎との関係が密接です。腎の陽気が虚すと風寒湿の邪は容易に侵入して腰痛を発症しやすいし、慢性化した腰痛は腎虚を伴っていることが多いです。
1. 外感性の腰痛
風寒湿の邪が腰部に侵入して経絡の気血の流れを渋滞させ腰痛を生じさせるものです。風寒の邪が主体の場合は固定性の強い腰痛があり、冷やすと増強し、温めると軽快します。湿邪が強い時は、腰が重だるく痛み、時に下半身に浮腫傾向があります。
よく使用される生薬として、風邪には、桂枝・麻黄があり、発汗解肌、散寒止痛、発汗解表の働きがあります。湿邪には蒼朮・薏苡仁があり、燥湿、利水の働きがあります。また蒼朮には風寒湿を散じ、痿を治する働きがあります。寒邪には当帰・附子があり、補血活血、散寒止痛の働きがあります。
代表処方:薏苡仁湯・疎経活血湯・桂枝加朮附湯・苓姜朮甘湯
2. 内傷性の腰痛
● 腎虚の場合
腎が衰えると、腎と最も関係の深い腰が弱り、腰痛や腰椎の運動障害が現れやすいです。老人の腰痛の多くは、腎の衰えに関与します。腎虚は老人以外にも現れ、過酷な労働、無理な姿勢の継続、不規則な生活、房事過多などにより引き起こされます。腎虚には、陽虚・陰虚があり区別されます。代表生薬として、地黄があり、滋陰・補腎・補精の働きがあります。
代表処方:八味地黄丸・六味丸・牛車腎気丸

● 瘀血の場合
打撲、捻挫、骨折等の外傷性の腰痛は急性の瘀血と考えます。これにはきっくり腰も含まれます。また女性は、月経・妊娠・出産等により必然的に骨盤内に瘀血を生じやすく、これが腰痛の原因となります。女性に限らず男性も、外傷の後遺症・成人病・瘀血体質等で慢性の腰痛を生じます。代表生薬として桃仁、牡丹皮があり、桃仁は頑固な瘀血を除去する第一の剤で、牡丹皮は清熱涼血・活血化瘀作用があります。共に用いることにより、瘀血を除き、腫を去り痛みを止める働きが強まります。
代表処方:桂枝茯苓丸・通導散

● 脾虚の場合
全身虚弱、慢性疾患、栄養不良の者では気血が不足し、腰背の筋肉が養われず、全身倦怠、疲労困憊して腰部の鈍痛を訴える者があります。腹筋や背筋が軟弱であったり、逆に薄い筋肉が過度に緊張している場合が多いようです。気血を補うことによって、症状は軽減します。代表生薬として、人参・当帰があり、人参は元気の不足を補い、また脾も補います。当帰は血を養い調和させます。
代表処方:補中益気湯・当帰建中湯
症例
症例
H18年2月来店 72歳女性 色白・痩せ型
三ヶ月前より腰痛がひどく、病院、整骨院に行くが、一向に改善しない。何とかならないかと相談。話をよく聞くと、冷えが強い。食欲はあるがガツガツはしない。汗をかかない。浮腫は少しあり。話をしている時に、冷たい風が流れました。そのとき、「ふー、寒い。」とぶるぶると震えられました。この動作を見たとき、間違いなく風寒湿の邪が入って、腰痛を起こしていると考え、桂枝・麻黄・当帰・薏苡仁を主剤とする漢方薬を勧めました。
一ヵ月後来店され、かなり調子がよいとのこと。三ヶ月ほどしっかり服用され、全快されました。H24年になりますが、今でも用心のためと、ぼちぼち続けてあります。