便秘とは
若い人でも便秘に悩む人は少なくありませんが、日本人の「気になる症状」という調査を年齢別に見ると、高齢になるに従って、「便秘」をあげる人の割合が増えるようです。
その理由としてあげられるのが、食事量の減少、大腸の動きの低下、便を押し出す力の低下、知覚の低下などです。
・食事量の低下
高齢になると食事量が減少する傾向があります。食事量が減りすぎると、便を形成するのに必要な材料(特に食物繊維)が不足するため、便の量が少なくなり、便意を感じにくくなります。
・大腸の動きの低下
大腸の動き(蠕動運動)が低下し内容物が大腸の中に長時間停滞すると、水分が吸収されすぎてしまい便が硬くなり、出づらくなります。
・便を押し出す力の低下
歳をとり排便に必要な腹筋や肛門括約筋の力が弱くなると、便を押し出しにくくなります。
・知覚の低下
便が直腸にたまると、直腸の神経が内圧を感じて大脳を刺激し、便意が生じますが、直腸の知覚が低下すると、便がたまっても便意を感じにくくなります。
その他に、「不規則な食事」「運動不足」「ストレス」など、自律神経の働きを低下させるような生活習慣も便秘と深く関わっています。
それ以外に気をつけたいのが、大腸に癌ができたため腸が閉塞したり、炎症が起きて狭窄したための便秘です。
・以前は便秘しなかったのに、最近便秘を繰り返すようになった
・便秘と下痢を繰り返すようになった
・便が細くなった
・便に血が混じるようになった
などの症状があるときは、何らかの病気が原因で便秘を起こしている可能性もあるので、一度病院を受診することをおすすめします。
〈消化管の仕組み〉
食べたものは、食道を通り、胃や十二指腸で消化された後、小腸で更に消化され、栄養や水分が吸収されます。大腸では更に水分が吸収され、残ったものは直腸にためられ、便として肛門から体外に排出されます。
便秘改善の第1は生活習慣の見直しです。
・1日3食規則正しく食べる
胃に食べ物が入ると、その刺激が腸に伝わり、腸の活動が促され、排便しやすくなります。これを「胃腸反射」といい、特に朝食後には強く表れます。
朝は時間がないからと、朝食を抜いたり、パンにコーヒーではなく、ご飯と味噌汁を基本として、野菜やお漬け物を一緒に食べると、腸内環境もよくなり、排便が整いやすくなります。
1日3食たべるといっても、過食で肥満すると胃腸の働きが悪くなってしまいますので、和食の粗食を中心に、腹6~8分で美味しくいただくことが大切です。
・適度な水分をとる
水分が不足すると便が硬くなり、排便しにくくなるので、適度に水分をとるようにします。
水分も冷たい飲み物や、多すぎる水分は身体を冷やし、胃腸の働きを低下させてしまうので、温かい飲み物を適度な量でとることが大切です。
・運動をする
腹筋や肛門括約筋の力は排便に必要なので、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を心掛けましょう。
生活習慣を見直しても便秘が改善しなければ、下剤などの薬物療法が行なわれます。
その理由としてあげられるのが、食事量の減少、大腸の動きの低下、便を押し出す力の低下、知覚の低下などです。
・食事量の低下
高齢になると食事量が減少する傾向があります。食事量が減りすぎると、便を形成するのに必要な材料(特に食物繊維)が不足するため、便の量が少なくなり、便意を感じにくくなります。
・大腸の動きの低下
大腸の動き(蠕動運動)が低下し内容物が大腸の中に長時間停滞すると、水分が吸収されすぎてしまい便が硬くなり、出づらくなります。
・便を押し出す力の低下
歳をとり排便に必要な腹筋や肛門括約筋の力が弱くなると、便を押し出しにくくなります。
・知覚の低下
便が直腸にたまると、直腸の神経が内圧を感じて大脳を刺激し、便意が生じますが、直腸の知覚が低下すると、便がたまっても便意を感じにくくなります。
その他に、「不規則な食事」「運動不足」「ストレス」など、自律神経の働きを低下させるような生活習慣も便秘と深く関わっています。
それ以外に気をつけたいのが、大腸に癌ができたため腸が閉塞したり、炎症が起きて狭窄したための便秘です。
・以前は便秘しなかったのに、最近便秘を繰り返すようになった
・便秘と下痢を繰り返すようになった
・便が細くなった
・便に血が混じるようになった
などの症状があるときは、何らかの病気が原因で便秘を起こしている可能性もあるので、一度病院を受診することをおすすめします。
〈消化管の仕組み〉
食べたものは、食道を通り、胃や十二指腸で消化された後、小腸で更に消化され、栄養や水分が吸収されます。大腸では更に水分が吸収され、残ったものは直腸にためられ、便として肛門から体外に排出されます。
便秘改善の第1は生活習慣の見直しです。
・1日3食規則正しく食べる
胃に食べ物が入ると、その刺激が腸に伝わり、腸の活動が促され、排便しやすくなります。これを「胃腸反射」といい、特に朝食後には強く表れます。
朝は時間がないからと、朝食を抜いたり、パンにコーヒーではなく、ご飯と味噌汁を基本として、野菜やお漬け物を一緒に食べると、腸内環境もよくなり、排便が整いやすくなります。
1日3食たべるといっても、過食で肥満すると胃腸の働きが悪くなってしまいますので、和食の粗食を中心に、腹6~8分で美味しくいただくことが大切です。
・適度な水分をとる
水分が不足すると便が硬くなり、排便しにくくなるので、適度に水分をとるようにします。
水分も冷たい飲み物や、多すぎる水分は身体を冷やし、胃腸の働きを低下させてしまうので、温かい飲み物を適度な量でとることが大切です。
・運動をする
腹筋や肛門括約筋の力は排便に必要なので、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を心掛けましょう。
生活習慣を見直しても便秘が改善しなければ、下剤などの薬物療法が行なわれます。
胃に入った水穀(飲食物)は、小腸から膀胱に行って小便となって排出され、また小腸から大腸に行って大便となって排出されます。
この胃から小腸、膀胱、または胃から小腸、大腸への伝道が順調に行なわれないときに便秘や下痢になります。そのため、排便異常は脾虚(脾の弱り)からおこることが原則です。
しかし、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えますし、肝虚(肝の弱り)は腎虚が伴うため、やはり排便異常に関係します。漢方医学の五行説の考えでは肺と大腸は表裏な関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。
つまり排便異常は五臓のどこが病んでも現れる可能性があるため、漢方治療ではどの臓に弱りが生じ、何がその弱りをつくり出しているのかを探り、弱りを補い、原因を減らせるよう養生していきます。
(例)
・胃熱・腸熱タイプ
過食や濃厚な味のものを飲食し続けると胃腸に熱がこもり、その熱に乾かされて陰液(水分)が少なくなり便秘しやすくなります。こういった場合には苦剤(苦みの生薬)を中心とした漢方薬で余分な熱を冷まして便を出やすくします。
・気滞タイプ
精神的なストレスをため込むと、肝に弱りが出やすく、肝の影響を受ける筋肉が硬直して凝りを生じ、血流も悪くなりやすくなり、胃腸の働きも低下して、便秘や下痢を起こしやすくなります。過敏性腸症候群などはこのタイプに属すことが多く、気剤(気をめぐりをよくする生薬)を中心とした漢方薬で体調を整えていきます。
・脾胃や腎の弱ったタイプ
身体が虚弱で冷えていたり、高齢で胃腸の働きが低下していると、大腸での内容物の停滞時間が長くなるために便が乾燥して秘結を生じやすくなります。このようなタイプには瀉下剤ではなく、温めたり、潤したり、腎を補強する生薬を中心とした漢方薬で補います。
・瘀血タイプ
女性は男性に比べて便秘に悩む人が多いと思います。腹筋が弱いなどの違いもありますが、女性には月経・妊娠・出産などで瘀血(血の巡りが悪くなる)が生じやすいことが原因の1つに考えられます。下腹部に瘀血があると、腸の働きを低下させ便秘を生じやすくなります。このようなタイプには血のめぐりをよくする生薬を中心とした駆瘀血剤で調えます。
この胃から小腸、膀胱、または胃から小腸、大腸への伝道が順調に行なわれないときに便秘や下痢になります。そのため、排便異常は脾虚(脾の弱り)からおこることが原則です。
しかし、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えますし、肝虚(肝の弱り)は腎虚が伴うため、やはり排便異常に関係します。漢方医学の五行説の考えでは肺と大腸は表裏な関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。
つまり排便異常は五臓のどこが病んでも現れる可能性があるため、漢方治療ではどの臓に弱りが生じ、何がその弱りをつくり出しているのかを探り、弱りを補い、原因を減らせるよう養生していきます。
(例)
・胃熱・腸熱タイプ
過食や濃厚な味のものを飲食し続けると胃腸に熱がこもり、その熱に乾かされて陰液(水分)が少なくなり便秘しやすくなります。こういった場合には苦剤(苦みの生薬)を中心とした漢方薬で余分な熱を冷まして便を出やすくします。
・気滞タイプ
精神的なストレスをため込むと、肝に弱りが出やすく、肝の影響を受ける筋肉が硬直して凝りを生じ、血流も悪くなりやすくなり、胃腸の働きも低下して、便秘や下痢を起こしやすくなります。過敏性腸症候群などはこのタイプに属すことが多く、気剤(気をめぐりをよくする生薬)を中心とした漢方薬で体調を整えていきます。
・脾胃や腎の弱ったタイプ
身体が虚弱で冷えていたり、高齢で胃腸の働きが低下していると、大腸での内容物の停滞時間が長くなるために便が乾燥して秘結を生じやすくなります。このようなタイプには瀉下剤ではなく、温めたり、潤したり、腎を補強する生薬を中心とした漢方薬で補います。
・瘀血タイプ
女性は男性に比べて便秘に悩む人が多いと思います。腹筋が弱いなどの違いもありますが、女性には月経・妊娠・出産などで瘀血(血の巡りが悪くなる)が生じやすいことが原因の1つに考えられます。下腹部に瘀血があると、腸の働きを低下させ便秘を生じやすくなります。このようなタイプには血のめぐりをよくする生薬を中心とした駆瘀血剤で調えます。
症例
29歳 女性 155cm 45kg
以前から便秘で悩んでいて、出ない日が続くとセンナやダイオウなどの便秘薬を服用している。と相談がありました。
症状を伺ったところ、便秘以外に、生理不順と冷え性があり、生理は3ヶ月に1回程度で、冷えは冬場になると特にひどく、ストーブの前から離れられない。便秘も最近特にスッキリでることがなく調子が悪いとのことでした。
・投薬と養生
痩せ型で色白、冷えがある脾虚・血虚タイプにもかかわらず、センナやダイオウなどの苦寒剤の服用で、身体に更に冷えを作てしまったために便秘が悪化し、排便時は軟便下痢でしか出ないようになったと思われます。
また血の不足した血虚タイプであるため、血の消耗を減らす身体の防御反応として生理の回数が減っていると思われます。
そのため、大腸を刺激して排便を促すタイプの瀉下剤は減らして、脾を補い体を温める生薬、血虚を補う生薬を中心とした漢方薬を服用していただくことにしました。
また生活養生として、身体を冷やすような冷たい飲み物や果物を控え、根菜類や穀物を中心に食べてもらうようにしました。入浴もシャワーではなくお風呂につかってゆっくり温まるようにしていただき、ストレッチなど軽い運動も心掛けてもらうようにしました。
漢方薬の服用と生活養生から徐々に排便が調い、生理不順も改善されました。冷え性も冬場はさすがに冷えますが、以前のようなひどい冷えを感じることはなくなり、現在も服用を続けていただいています。
以前から便秘で悩んでいて、出ない日が続くとセンナやダイオウなどの便秘薬を服用している。と相談がありました。
症状を伺ったところ、便秘以外に、生理不順と冷え性があり、生理は3ヶ月に1回程度で、冷えは冬場になると特にひどく、ストーブの前から離れられない。便秘も最近特にスッキリでることがなく調子が悪いとのことでした。
・投薬と養生
痩せ型で色白、冷えがある脾虚・血虚タイプにもかかわらず、センナやダイオウなどの苦寒剤の服用で、身体に更に冷えを作てしまったために便秘が悪化し、排便時は軟便下痢でしか出ないようになったと思われます。
また血の不足した血虚タイプであるため、血の消耗を減らす身体の防御反応として生理の回数が減っていると思われます。
そのため、大腸を刺激して排便を促すタイプの瀉下剤は減らして、脾を補い体を温める生薬、血虚を補う生薬を中心とした漢方薬を服用していただくことにしました。
また生活養生として、身体を冷やすような冷たい飲み物や果物を控え、根菜類や穀物を中心に食べてもらうようにしました。入浴もシャワーではなくお風呂につかってゆっくり温まるようにしていただき、ストレッチなど軽い運動も心掛けてもらうようにしました。
漢方薬の服用と生活養生から徐々に排便が調い、生理不順も改善されました。冷え性も冬場はさすがに冷えますが、以前のようなひどい冷えを感じることはなくなり、現在も服用を続けていただいています。