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生理痛
生理痛とは
生理痛は、生理の期間に起こる下腹部、腰痛など骨盤を中心とした部位の痛みのことで、生理が始まった初日から2~3日目にピークを迎えることが多いです。
お腹が張ったりズキズキ痛んだり、腰を重たく感じたりと、その症状は人によって様々です。また、症状の重さにも個人差があり、ふだんの生活に支障をきたすほど症状が重い場合もあります。

日常生活に支障をきたすほどのものを月経困難症と呼び、一般的な生理痛とは区別をしています。たとえば、生理がくると「痛みがひどく、横たわっていないと耐えられない」「家事も手につかない」「つらくて学校や会社に行けない」などといった重い症状が、月経困難症の特徴となります。
痛み以外にも吐き気や食欲不振、下痢、頭痛などの症状が同時にあらわれることも多く、月経困難症の女性にとって生理の期間はとてもつらいものとなります。

月経困難症には2種類あり、ひとつは原因となる病気があるために起こる「器質性月経困難症」、もうひとつはとくに原因となる病気がないのに起こる「機能性月経困難症」です。

器質性月経困難症の原因となるおもな病気
■子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内膜が本来あるべき子宮腔以外の場所に発生し、増殖する病気です。増殖した内膜組織は子宮内膜と同じように、生理がくると触解し、出血を起こします。本来の子宮内膜は出血とともに体の外へ排出されますが、子宮以外の場所で増殖してしまった内膜組織には排出される出口がないため、お腹の中にたまって炎症を起こし、激しい痛みなどの症状を引き起こします。
■子宮腺筋症
子宮腺筋症とは、子宮内膜が子宮の筋肉層にもぐりこみ、増殖する病気です。内膜組織が増殖を繰り返すとまわりの筋肉がかたくなり、子宮の壁もどんどん厚くなって、しまいには子宮全体が大きくふくらんでいきます。症状としては、激しい痛みにくわえ、筋肉がかたくなることで子宮が収縮しづらくなって出血量が増え、貧血などの症状が出ることもあります。
■子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の壁を形づくっている筋肉の一部が異常に増殖し、良性の腫瘍(こぶ)ができる病気です。はっきりとした原因はまだわかっていませんが、子宮の筋肉層にできた腫瘍の芽が、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの刺激を受け、長い時間をかけて成長すると考えられています。腫瘍が大きくなるにつれ、出血時にレバーのような血の塊が混じって出てくるのが特徴です。
■その他の病気
その他に月経困難症の原因となる病気には、原因が不明なものの下腹部が重く痛む骨盤内うっ血症候群や、淋菌やクラミジアといった細菌に感染して微熱や悪臭のあるおりものが出る骨盤内感染症などがあります。

機能性月経困難症
子宮内膜から産生されるプロスタグランジンの過剰な分泌によって起こる月経困難症です。プロスタグラジンは子宮を収縮させて月経血の排出を促しますが、分泌が多いと収縮が強くなり、痛みが出ます。しかし、体の臓器に何か別の病気が隠れていて、それが痛みを引き起こしているというわけではありません。

西洋医学での治療
薬物治療
生理痛には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因になっている器質性月経困難症と、プロスタグランジンというホルモンの過剰分泌が原因の機能性月経困難症があります。そのため治療薬にも低用量ピルのような生理痛の原因となる病気を治療する薬と、痛みを取ったり、やわらげる痛み止めの薬があります。
体の臓器に原因がある器質性月経困難症の場合、低用量ピルを飲むことで、原因となる病気をコントロールしながら、痛みをやわらげることができます。それだけでは痛みが取れない場合、鎮痛剤を併用して痛みをコントロールするという方法が一般的になりつつあります。

外科的治療
生理痛の原因が子宮内膜症や子宮筋腫などの病気によるものの場合、原因となっている病気を治療するために、手術を行う場合もあります。
漢方では?
漢方では子宮を女子胞あるいは胞宮と呼んでいます。しかし漢方でいう女子胞は子宮だけでなく、卵巣や生殖器全体の機能を包括し、月経を調節し、妊娠を司っています。従って女子胞の生理機能は腎、肝、心、脾及び衝脈、任脈と密接に結びついています。心は血を主り、肝は血を蔵し、脾は血を統ります。また「衝脈は血海であり、任脈は胎盤を主る」とあり、衝任の二脈が正常に働いて始めて月経が周期的に来潮し、妊娠が可能となります。衝任二脈の働きを実際に支配しているのは肝と腎です。これらを考慮しながら、生理痛を改善する処方を考えていきます。

1、瘀血
 瘀血があると経血の排出が円滑に行われません。瘀血に起因する生理痛では強い腹痛が持続します。経血は暗赤色で凝血塊を下すと痛みが軽減します。瘀血の原因は寒や血熱もありますが、最も多いのは肝鬱気滞(ストレス)によるものです。

代表的処方:桂枝茯苓丸、桃核承気湯、通導散など

2、血虚
 血虚があると全身的に栄養が悪く、肌膚枯燥し、口唇や爪の色艶が悪い場合が多いです。月経周期の延長がみられ、経血は淡く量は少ないことが多いです。背景に腎陽虚があり、そのため衝任両脈の虚寒があります。

代表的処方:温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など

3、気血両虚
 気と血は相互に依存し合い、協力し合って働いているので切り離すことはできません。気血の一方が虚すと必ず遠からず他方にも影響が及んで気血両虚の状態に陥ります。気血両虚の者は冷え症で元気がなく、疲れやすく、めまい、立ちくらみ、動悸などがあり、顔色が悪い場合が多いです。

代表的処方:当帰芍薬散、当帰建中湯など
症例
症例
性別・・・女性、年齢・・・28歳、身長/体重・・・165cm/45kg

投薬と経過
元来、生理は遅れるほうだが、最近2~3ヶ月毎にしか生理がなく、生理が来ると、痛みが強い。身体のほうも、疲れやすくだるい。また、冷えもかなり強いので何とかならないかとのことでした。
血色や生理周期が長いことなどからまず血が足らないこと。食が細いことから漢方で言う腗を元気にしなければならないことを説明。また、身体の疲れやだるさはある程度早くとれるが、生理不順は時間がかかることを説明し、漢方薬を服用してもらうことになりました。
処方は血虚を改善する漢方薬を服用してもらいました。一ヶ月ほどで身体の調子がかなりよくなったと連絡がありました。
服用約1年で生理の周期がきちんと来るようになり、生理痛もほとんど無くなったとのことです。