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動悸
動悸とは
心臓の拍動を自覚した状態、あるいは心拍動を強く意識することをいい、心悸亢進ともよばれます。心臓で起こるものがすぐに思い浮かびますが、実際には他の部位でも不快な脈動を経験されたかたもあると思います。このように、心臓性の動悸と心外性の動悸があり、
心臓性の動悸は、心臓そのものに疾患が生じたものと、不整脈があります。また、心外性の動悸として、貧血・甲状腺機能亢進・自律神経などによるものがあります。

動悸の原因
① 心臓性の動悸
・虚血性心疾患
狭心症や心筋梗塞などのことです。狭心症の場合、運動時に胸が痛くなったり、締め付けられることが多いです。症状が、安静時や明け方に起こるときは危険です。心筋梗塞は、心臓に酸素を送る血管に血栓がつまり、心筋の懐死が起き強い胸痛があります。症状が落ち着いても心室性不整脈や心房細動がでやすく危険です。
・ 心筋症
心筋症(拡張型心筋症・肥厚性心筋症など)は心臓の筋肉がやられる病気です。傷ついた心筋が異常信号を発するため、心室性・心房性の不整脈が生じます。また心房細動も合併しやすくなるため根本治療が必要になります。
・ 心臓弁膜症
弁膜症は、僧帽弁、大動脈弁が主で、次に三尖弁、肺動脈弁が不整脈に関与します。それぞれの弁が狭くなる「狭窄」や血液が逆流する「閉鎖不全症」があります。
不整脈を起こしやすい病気は「僧帽弁狭窄症」で心房細動を起こします。心房細動は脈が不規則になり、動悸だけでなく息苦しさや足がむくんだりします。
・ 不整脈
弁膜症や虚血性心疾患、心筋症、心不全、その他の原因疾患がなく、不整脈が単独で起こることがあります。なかには、生まれつきの不整脈があり、子供に多いです。
不整脈単独の場合は息切れや胸痛よりは、動悸そのものの訴えが多いです。
・ 心筋炎
心臓の筋肉がウイルスなどにより炎症を起こす病気です。
無症状のこともありますが、発熱があったり、胸痛があったりします。そのため、不整脈がでるため、動悸を伴うことがあります。
・ 心膜炎
心臓の表面にある心膜に何らかの原因で炎症が起こる病気です。
倦怠感、発熱、胸痛を伴います。不整脈が起こるため動悸を伴います。

② 心外性の動悸
・ 自律神経
ストレスやホルモンのバランスの乱れによりさまざまな症状がでます。のぼせ・めまい・発汗・動悸・高血圧・低血圧・イライラなどです。
・ 貧血
貧血もひどくなると、動悸がでます。これは、全身に酸素を運ぶために、心臓が過剰に働いてしまうためです。
・ バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンが過剰になるため、体の活動が異常に活発になります。
症状として、体重減少・動悸・発汗・眼球突出・イライラ・手の振るえなどがあります。
・ 高血圧
高血圧になると、血管の内圧が高いために、心臓が血液を送り出すときに負担を掛けてしまいます。そのために不整脈がでてしまい動悸の原因になります。
・ 低血圧
低血圧でも動悸が起こります。血行不良のため、神経反射により、心臓が異常に働くためです。
・ 発熱
高熱が出た場合、心臓に問題がなくても、動悸がでることがあります。

☆心房細動とは
心房細動とは心房(左心房・右心房)が激しく震えるような動きとなります。その速さは一分間に400~600回の震えです。心房が規則正しく動いていれば、心室も規則正しく動きます。規則正しく動いている状態を洞調律といいます。しかし、洞調律から心房細動になると心房収縮の興奮の一部のみが不規則に心室に伝わります。このため心室の収縮の間隔も不規則になります。 心房細動になると不規則なリズムで急に脈が速くなったり、逆に遅くなったりするので、不快感を感じることが多いです。

治療(西洋医学)
動悸を訴えて医療機関を受診すると、心電図を記録されます。また、日常生活での不整脈を調べるために、ホルター心電図という小型の24時間心電図計を装着し心電図を記録されます。稀にですが、貧血や甲状腺ホルモンの異常がないか血液検査も行われます。

・心臓性の疾患の場合
薬物療法
○強心剤
心臓の収縮力を高め、全身に血液が行きわたるようにします。
ジゴシン・ラニラピッド・ネオフィリン などがあります。
○利尿剤
余分な水分を体の中から取り除き、心臓にかかる負担を軽くします。
ラシックス・フルイトラン・アルダクトン などがあります。
○血管拡張剤
血管を広げて血液の流れを良くし、心臓にかかる負担を軽くします。
アイトロール・アダラート・アムロジピン・シグマート・フランドル などがあります。
硝酸薬
ニトログリセリンなどの硝酸薬は、血管を広げて心筋への酸素運搬を助ける一方で、心筋で使われる酸素量を減らすことで心臓の酸素不足を解消します。
即効性があって効果の持続時間が短い舌下錠・噴霧薬(ニトロペン・ミオコールスプレー)のほかに持続時間の長い薬剤(アイトロール・フランドル)があります。
○抗不整脈剤
心臓のリズムを改善し、不整脈を軽減させます。
ワソラン・ヘルベッサー・リスモダン・メキシチール・サンリズム などがあります。
○抗血液凝固剤
血液を固まりにくくし、血栓が出来ないようにします。
バイアスピリン・ワーファリン などがあります。
○降圧剤
血圧を下げるお薬です。
ACE阻害薬やARB拮抗薬があります
○その他
スタチン製剤・・高脂血症のお薬ですが、血栓を防いだり、炎症を抑える働きがあり発作を抑えることが出来るといわれています。

以上のようなお薬を症状にあわせて使用されます。

外科的治療
冠動脈バイパス手術・経皮的冠動脈形成術・バチスタ手術などがあります。
・ 心外性の治療
○自律神経
安定剤(デパス・リーゼ・メイラックス)が処方されます。
○貧血
鉄剤(フェロミア・スローフィー)が処方されます。
○バセドウ病(甲状腺機能亢進)
ホルモンをコントロールするためのお薬(メルカゾール・チウラジール)が処方されます。
また、甲状腺を切除する外科的治療もあります。
漢方では?
漢方では動悸の原因と対処法が明確になっています。しかしながら、動悸の原因はさまざまですので、鑑別が重要になってきます。

① 驚恐擾心の場合
突然驚いたり、ストレス(緊張・恐怖)によって動悸を感じるもの。動悸の他に、不安、不眠、多夢、浅眠などを伴い、ビクビクして驚きやすい。また、腹部に動悸を感じることが多い。よく使われる生薬として、竜骨・牡蠣があります。竜骨+牡蠣の組み合わせは、鎮静効果に優れ、陽虚を鎮め精神を安定させます。
代表処方:柴胡加竜骨牡蠣湯・救逆湯

② 心気虚の場合
心気不足で、動悸、不整脈と共に元気が無く、息切れ、倦怠感、疲労感などがある。過労、大病、栄養不足などにより発症する。腹部軟弱で臍上動悸を感じることもある。代表生薬として、炙甘草があり、気を益し、経絡を通じ、気血を利し、心悸を治すとあります。また、地黄+麦門冬+阿膠で滋潤、清涼の効あり。枯燥を潤し栄養を高め、貧血を補い煩熱を解し間接的に強心作用があるとあります。
代表処方:炙甘草湯(復脈湯)・養心湯

③ 心陽虚の場合
心の陽気不足で起こる。心気虚と共通する部分が多いが、さらに寒がる、四肢が冷える、胸が塞がる感じがある。また、顔面蒼白である。
心虚というのはありませんので、心は脾・腎との関係が深くなります。脾の陽虚、腎の陰陽虚、腎の陽虚を考えていきます。
代表処方:苓桂朮甘湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・真武湯など

④ 心血虚の場合
心の陰血不足に因る。陰血の化生不足、出血、憂思過度による心陰の損耗などが原因である。動悸の他にめまい、不眠、健忘などを伴い、皮膚に艶が無く、唇や爪の色が淡白である。腹壁は薄く乾燥気味で腹直筋の緊張(腹皮拘急)がある。よく使用される生薬として
当帰・地黄で、養血の剤です。当帰は肝を養い、熟地黄は腎を滋養します。
代表処方:人参養栄湯・帰脾湯

⑤ 心陰虚の場合
心の陰液不足によるもの。心血虚と共通する部分が多いが、さらに微熱、盗汗、五心煩熱、咽乾口燥、皮膚乾燥などの虚熱の症状が加わる。
代表処方:酸棗仁湯・甘麦大棗湯

⑥ 心血瘀阻(瘀血)の場合
久病は瘀血を生ずと古来より言われ、気虚、陽虚、気鬱、寒冷など種々の原因で血行が阻害されると、やがて瘀血を生じる。動悸と共に胸苦しさを感じ、時には刺すような胸痛もある。下腹部が硬満し臍傍に強い圧痛がある。よく使われる生薬として、桃仁、牡丹皮があり、桃仁は頑固な瘀血を除去する第一の剤で、牡丹皮は清熱涼血・活血化瘀作用があります。共に用いることにより、瘀血を除き、腫を去り痛みを止める働きが強まります。
代表処方:桂枝茯苓丸・生薬Ⅱ号方・血府逐瘀丸
症例
症例
H22/8来店 女性 54歳 155cm 痩せ型
主訴は動悸。病院にかかるが異常はない。疲れがひどく、めまいも少しある。話をよく聞くと咽頭の部分に少し違和感があり、口乾あり。胃腸も弱く、小便は普通にある。仕事が忙しく、神経症状もある。体系もかなり痩せ型のため、心陽虚(脾陽虚)と判断し、漢方薬を14日分服用してもらいました。14日後、来店され、効果が感じられないとのことで、もう一回症状をよく聞きました。手足のほてりがあり、皮膚の色がやや黒く感じられる。食欲を聞くと、胃腸は弱いが、旺盛。腹部軟弱で臍上動悸を感じるとのこと。津液不足の状態が強く、煩熱を考えると、地黄などの潤す生薬が必要と考え、地黄などを含む漢方薬を14日分服用してもらうことにしました。14日後来店され、大変良いとのこと。それから、3ヶ月ほど服用されました。今では、仕事が大変になる前に来店され自分で調節して服用されています。