気管支喘息
気管支喘息とは
気管支喘息とは、空気の通り道である「気道」が狭くなって、咳や痰、息切れ、喘鳴などの症状がでて、呼吸が苦しくなる慢性的な病気です。「喘息発作が起きると苦しくて辛い」ということは知られていても、「命にかかわる状態になることもある」という点が理解されていないことが多いようです。実際に毎年二千人以上の方が喘息発作によって亡くなってあります。このことから、怖い病気であることを知っておかなければなりません。
気道の内側は、粘膜で覆われていて、空気とともに吸い込まれる「異物(花粉やほこり)、細菌、ウイルス」など体にとって有害な物質をとらえ、それらを排除する働きをしています。気道の粘膜は、こうした刺激に対して、感受性が高まり、慢性的な炎症を起こした状態になっていますので、健康な人なら反応しないようなわずかな刺激にたいしても、敏感に反応してしまいます。この反応が起きると、気道の筋肉が痙攣して収縮したり、肥大したりし、また粘膜からの分泌物が急激に増加するために、気道の内腔が狭くなって呼吸困難になります。
気管支喘息の原因
気管支喘息は、気管支に炎症を引き起こす原因によって、アレルギー型と非アレルギー型に大別されます。アレルギー型というのは、アレルギーの原因物質が体内に侵入することで、喘息発作を起こします。そのアレルゲンには吸入性抗原であるハウスダストや花粉類、あるいはカビ、犬や猫の毛、ホコリ、ダニなどもあげられます。その他では、食事性抗原としてカニ、エビ、鶏卵、肉類、魚類、または野菜なども指摘されていますが、個人差があります。アレルギー体質は、高い確率で遺伝するとされ、家族や親族に アレルギー性疾患をもった人間いると、喘息を発症しやすいとされています。
アレルギーは喘息と特に関わりが深く、子供や大人のぜんそく患者のおよそ5割が、アレルギー性鼻炎を合併しているという報告があります。つまり、そのような人は喘息の治療だけでなくて、アレルギー性鼻炎の治療も並行して行う必要があるといえます。アレルギー性鼻炎の改善と共に、喘息の症状が改善することにつながるのです。
非アレルギー型は、アレルギー以外の原因によって発症するタイプを指します。自律神経失調やホルモンの分泌の乱れが原因とされています。または、季節の変わり目に起こる急激な温度の変化や精神的ストレスのほか、工場の排煙や車の排気ガスなどによる大気汚染、身近ではタバコの煙、暴飲暴食、建材や殺虫剤に含まれる化学物質、食品添加物などが発作の引き金として影響しています。
治療(西洋医学)
吸入ステロイド薬
「フルタイド・キュバール・パルミコート・アドエア(合剤)など」
吸入ステロイド薬が現在では、喘息治療の第1選択として用いられています。
抗炎症作用の力を他のどの薬よりも強く持ち、予防的治療の主体となっています。突然起こる発作を静めることができる働きは持っていません。喘息の吸入治療用に特別に作られたステロイド薬で、全身性の副作用はないようです。
口内感染、口内炎などの副作用があります。

経口ステロイド薬
「プレドニン・リンデロンなど」
気管支の炎症を早急に抑えこみ、喘息には非常に効果的な薬であるといえます。
1~2週間程度という短期間であれば、大量に飲んでもあまり心配はいりません。
長期間使用してしまうと、高血圧や糖尿病、肥満、免疫力の低下、骨粗しょう症などの副作用が出てくる可能性がありますので、服用の際は注意が必要です。

抗アレルギー薬
「インタール(吸入)・ザジテン・オノン・シングレア・キプレスなど」
気道の炎症を抑える作用をもっています。
主にアレルゲンがはっきりしている気管支喘息に使用されています。
吸入ステロイド薬同様、突然起こる発作を静めることができる働きは持っていません。
喘息の治療に用いられる抗アレルギー薬に、抗ヒスタミン作用があるものとないものがあります。
抗ヒスタミン作用のある薬は、副作用として眠気や倦怠感を伴うものがありますので服用の際には注意が必要です。

気管支拡張薬
「セレベント(吸入)・メプチンエアー(吸入)・テオドールなど」
発作が起きた時に狭くなった気管支を広げ、空気の通りをよくすることで、呼吸を楽にする作用があります。
最近、効き目が長時間持続する薬が登場したこともあり、予防的治療にも使われることが多くなってきました。
動悸、手のふるえ、頭痛などの副作用を伴うことがありますので注意が必要です。
漢方では?
漢方では五臓(肝、心、脾、肺、腎)、体内の「気・血・水」の不均衡を改善することにより、喘息症状を改善していきます。五行説(東洋医学の学説)から考えると、「気管支」は肺に属しますので気管支喘息は肺の病と考えられます。治療に際しては、咳その他の症状が、肺熱によって生じたものか、肺が冷やされる肺寒によって生じたものかをまず見きわめる必要があります。
① 肺寒の場合
肺寒を生じる原因は外からの風・寒の邪、水分過剰体質、陽気不足による裏寒証などです。肺の働きが阻害されるので咳を生じるとともに、肺に水が停滞し薄い痰を伴うのが特徴です。よく用いられる生薬は麻黄、杏仁で、麻黄は寒邪を散じて喘咳を治す働きがあり、杏仁は鎮咳、去痰の働きがあり、杏仁が麻黄の働きを強化します。またその他に、細辛や五味子もよく用いられ、細辛は肺気を温めて水を除き、五味子は肺気を収斂する働きがあり、この二つは同時に使われることが多いです。
代表的処方:麻黄湯、小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯など
② 肺熱の場合
外からの寒邪が、肺に侵入し炎症を起こして熱を生じるか、温熱の邪が直接肺に影響するか、或いはストレスやアレルゲンに対し過剰に反応するなどして肺熱を生じるもので、津液も障害されて、咳嗽や呼吸困難とともに粘稠な痰を生じます。
よく用いられる生薬は麻黄と石膏の組み合わせで、麻黄に石膏の辛微寒の性を加えることにより、麻黄の喘をおさめる効能を損なうことなく乾燥するのを抑えます。この二味の配合は肺熱を取り除き喘咳を鎮めて肺熱による咳、呼吸困難に用いられます。
代表的処方:麻杏甘石湯、五虎湯など
③ 陰虚肺熱の場合
乾燥による内熱で肺の津液が不足し、肺熱枯燥の状態に陥ったものです。肺は繊細な臓器で常に湿潤を好みます。肺熱が持続した結果、肺の津液が不足し、津液枯渇と虚熱内生の状態になったものです。よく使われる生薬は、麦門冬や天門冬で、麦門冬は津液不足を補い、津液を生じるとともに大逆上気による咳を止め、心肺の熱をさまします。天門冬は滋陰清熱の効力が強く、腎陰を滋養し清熱します。
代表的処方:清肺湯、滋陰降火湯、麦門冬湯など

また、肺の熱や寒だけでなく、ストレスなどにより肝気が鬱積し、これにより気が肺に上逆して咳嗽を生じる場合や、小児のように脾がまだ充実しておらず、脾虚からくる喘息もあり、腹痛や便通異常、風邪ひきやすい、疲れやすいなどを目標に処方を考えていきます。
症例
  
症例
H23/11/02 13歳 145cm/36kg男性
母親と来店。症状を聞くと、朝、晩の咳「ヒューヒュー」ひどく 、鼻水もある。病院に小さい頃から通っているが、症状は吸入を使用するとある程度は治まるが、鼻水がひどく、効果のある薬は眠気がでてしまうため服用したくないとの事。また、ステロイド等の病院の薬は石油から出来ているのでしょう?と言われ、これ以上、服用させたくないと言われました。
お子様は、顔色は青白く、痩せ形。いくつか質問したところ、食は細く、食後に腹痛がよくあり、便秘がひどいとの事。汗は無く、たまに寝汗がある。疲れやすいとの事でした。
この事より、脾虚と判断し、脾虚を改善する漢方薬を服用してもらうことにしました。また、鼻水がひどい事を考えると、発散の力が無く、冷えがあるので、生薬の桂枝の量をもう少し増やすために、桂枝の粉末(シナモン)を足して服用してもらいました。
H23/12/07 来店
かなり調子が良いとの事。朝、晩の咳がかなり少なくなり、授業中悩ませていた鼻水もかなり少なくなったとの事で、大変喜ばれました。また、便通も良くなった事でした。自分もそんなに効果があったんだと思いうれしかったです。完璧に良くなっていませんので、しばらく続けてもらっています。